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日本版敗血症ガイドライン2016

日本版敗血症ガイドライン
2016

ついに日本集中治療医学会・日本救急医学会 合同作成の
「日本版敗血症診療ガイドライン2016」
The Japanese Clinical Practice Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2016 (J-SSCG2016)
が公開となりました。制作期間は2年以上、総勢73名メンバー(COI開示メンバー)が作成した日本でも大規模なガイドラインの1つだと思います。またARDSガイドラインや蘇生ガイドラインは日本のガイドラインの中でも評価は高いですが、このガイドラインも負けていないように思います。

現在Web上で公開されており、今後正式な冊子、ダイジェスト版が出てきます。
しかしながら予想以上に時間がかかることを身にしみて感じました。。たまたまボストンにガイドラインメンバーがいたので、よく留学先の仕事が終わった後にハーバード図書館に集合してこの仕事を夜中までやっていました。。

私はコメントする立場にありませんが、よく言われている長所・短所を記載しておきますと
(詳細は各自でご確認頂けたらと思います。)

長所
1. 前回当ガイドラインはSRをおこなっておらずエキスパートオピニオンのみであったが、今回はSRをおこない科学的根拠に基づいて導き出された推奨である。
2. 新基準のSepsis3にも対応し、また外国のガイドラインには記載のない小児、PICSなど敗血症で重要な問題に対しそのCQと結論が導き出されている。
3. 集中治療医学会と救急医学会の多学会合同ガイドライン
4. 一部のCQ(リコモジュリン、グロブリン製剤)では推奨を出していない
(多くの人が短所と考えているようですが、私は現時点で効果が不明なものは推奨を出さないというのも1つの方法なのではないかと思います。)

短所
1. 治療メタではRCTのみで観察研究を含んでいない
2. 検索エンジンはPubmed(Medline)の1つのみ (通常のSRでは3つ以上です)
3. GRADE方式を採用していない(*今回はMindsです。しかし診断メタはGRADE方式です)

などがあります。
敗血症は診療科を問わず重要なテーマですので、みなさまも見てみてください。










by kaigaiwataihenda | 2016-12-28 12:45 | 敗血症 | Comments(0)

PICSは予防可能か? 集中治療、敗血症、後に起こるPICS

PICSは予防可能か? 
集中治療、敗血症後に起こるPICS




皆様はPICSという言葉をご存知でしょうか?Post Intensive Care Syndromeの略でPICS (ピックス)と呼ばれ日本語では”集中治療後症候群”と呼ばれます。廃用症候群とは違いますし、近年SCCMより打ち出された新しい概念です。PICSをICU退出後の症候群と誤解している人も多く、”ICUにいる間にもPICSは発症します!”ので要注意です。

PICSに関して小さなまとめをどうぞ。




PICSは予防可能か?
ドクターK

 そもそもPICSに予防という概念自体が存在するのか、と考える方も多いのではないだろうか。以前より集中治療医の間でも「重症敗血症になった時点で後遺症はある程度残るものだ、ADLが低下することは仕方がない。」と考えられてきた。しかしながら近年、集中治療患者の環境因子や治療等への介入によりこれらの後遺症を減らす可能性が唱えられた1)。これが、「PICSの予防」の概念の始まりである。
 PICSの患者は主に①精神障害、②認知機能障害、③身体障害、に大別されるがその発症に関わる因子は様々である。PICSを予防することが出来るとしたら、どのような介入が可能であろうか。2000年にNelsonらは急性肺障害の患者に対しICUでの薬剤投与がどのような影響を与えているかを調べた。小規模の後ろ向きの観察研究ながら、鎮静薬や筋弛緩薬の使用がうつ病やPTSDの発症と関係しているというインパクトのある研究であった2)。このように、薬剤、輸血、輸液、人工呼吸器、血液浄化療法などの治療因子もPICSの発症との関連が言われており、PICSの予防に寄与する可能性がある。また治療以外にケア因子でも同様にPICSの発症との関連があると言われている。具体的に、喀痰の吸引や体位変換などが挙げられる。精神因子としては、せん妄、不眠、不穏、精神的ストレス、環境因子として、モニター音やアラーム音、ICUの閉め切った環境などがある。なおケア因子と精神因子にまたがる興味深いPICSの予防方法として、ICU日記がある。2010年にJonesらは多施設前向き研究で、家族もしくは医療従事者によりICU入院患者の日記帳を作ることでPTSDの発症が抑制出来ることを報告した3)。これは、ICU入院患者の状態が改善した場合にこの日記を読むことで自分の身に何が起こっていたのかを知り、また妄想と現実とのギャップを埋めることが出来るためだと言われている。このことが精神機能の回復を早めてPTSDの発症を防ぐことが出来る機序ではないかと推測される。
 このようにPICSの予防に重要な項目としてMarkらは、①ABCDEバンドルによるアプローチ、②ICU日記、③早期離床/理学療法、④認知療法、⑤その他(血糖コントロール、ステロイド投与)を挙げている4,5)。(表1参照)これらの事項を遵守することによりPICSを予防出来る可能性がある。
 ここまでPICSの予防の可能性を述べたが、未だエビデンズが乏しい分野であり今後のさらなる研究成果が期待される。また敗血症の治療の進歩に伴い、PICSの患者は今後さらに増えることが予想され、PICSの予防をおこなうことが当たり前の時代が来ることを切に望む。

 表1. PICS予防のためにおこなうべきこと

ABCDEバンドル

・鎮静薬や人工呼吸器のオン・オフを日々実践する

・せん妄のモニタリングと管理

・可能な範囲で安静度を上げる

ICU日記

・家族や医療従事者により実施

③早期離床/理学療法

④認知療法

⑤その他

・血糖コントロール

・ステロイドの使用がPTSDの発症を抑制させる可能性あり

(しかしながら現時点ではその理由だけでステロイドを使用すべきではない。)




参考文献
1. Needham DM, Davidson J, Cohen H, et al. Improving long-term outcomes after discharge from intensive care unit: report from a stakeholders' conference. Crit Care Med. 40:502-509, 2012
2. Nelson BJ, Weinert CR, Bury CL, et al. Intensive care unit drug use and subsequent quality of life in acute lung injury patients. Crit Care Med. 2000;28(11):3626-3630.
3. Jones C, Bäckman C, Capuzzo M, et al. Intensive care diaries reduce new onset post traumatic stress disorder following critical illness: a randomised, controlled trial. Crit Care. 2010;14(5):R168.
4. Mark EM, Giora N, Theodore I. Post-intensive care syndrome (PICS). < http://www.uptodate.com/contents/post-intensive-care-syndrome-pics>
5. Pandharipande P, Banerjee A, McGrane S, et al. Liberation and animation for ventilated ICU patients: the ABCDE bundle for the back-end of critical care. Crit Care 2010;14(3):157.







by kaigaiwataihenda | 2016-05-22 10:05 | 敗血症 | Comments(0)

敗血症の定義の改訂 in 2016年 オーランドSCCM SEPSIS-3

敗血症の定義の改訂 in 2016年 
オーランドSCCM、SEPSIS-3



ついに敗血症の定義が改訂されました。そろそろではないかと噂されていましたが、数日前にお披露目となりました。雑誌はJAMAです。2016年2月23日に出た、出来立てホヤホヤの新定義です。

Singer M, Deutschman CS, Seymour CW, Shankar-Hari M, Annane D, Bauer M, Bellomo R, Bernard GR, Chiche JD, Coopersmith CM, Hotchkiss RS, Levy MM, Marshall JC, Martin GS, Opal SM, Rubenfeld GD, van der Poll T, Vincent JL, Angus DC.The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA. 2016 Feb 23;315(8):801-10. doi: 10.1001/jama.2016.0287.
以下URL

Sepsis and Septic Shockの頭文字と今回の改訂数からでしょうか「SEPSIS-3」という名前のコンセンサスとしています。このようなちょっとしたインパクトのある名前にした発想は、個人的にとても好きです。

ちなみに重症敗血症という言葉は無くなりました。(以前は敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックの3つでした)今後は敗血症が従来の重症敗血症と同じ意味になります。元々臨床の現場では敗血症というと、ほとんど重症のものを指していたので、より現場にあったものになったのではないかと思います。

1. 敗血症の定義
新定義:「感染症に対して制御不可能な宿主反応を起こし、生命を脅かす臓器障害を伴う」

2. 敗血症の診断基準
新基準:ICU患者とそれ以外(院外,ER,一般病棟)で区別
 ICU患者:感染症が疑われSOFAスコアが2点以上増加
 一般患者:qSOFAスコアで2点以上

このqSOFA(クイックSOFA)ですが、今回初めて登場しました。元々のSOFAスコアはとても有名なスコアでICUで現在もよく用いられますが、なかなか点数化がややこしく表を見ないと点数化で来ませんでした。現場が使用しやすいスコアを作るということはとても良いことではないかと思います。

以下がqSOFAスコアです。わかりやすいですね。
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今後の敗血症の実際の治療の流れは以下になります。(少し文字が見にくいですが)

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今後私たちの研究にも影響を及ぼしそうです。
私も今後敗血症に関して皆が注目するような研究を出来ればと思っています。








by kaigaiwataihenda | 2016-02-26 13:20 | 敗血症 | Comments(1)

世界敗血症デー

世界敗血症デー

皆さんは世界敗血症デーとな何かご存知でしょうか?


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心臓の拍動が3回打つ度に敗血症で亡くなる人がいるという危機的状況を回避するため世界敗血症同盟(Global Sepsis Alliance)が設立されています。その団体による敗血症(Sepsis)の啓蒙活動として世界敗血症デーが設立されました。




その世界敗血症デーですが、毎年の9月13日を世界敗血症デーと定めています
まさに今日がその日ですね
有楽町駅でイベントが行われる予定です


敗血症を減らすには、2020年までに5つの目標を定めています

1. 感染症の予防対策により敗血症の発症率を20%低下させます。
2. 敗血症の早期発見と治療体制の確立により救命率を10%改善させます。
3. 世界中で、適切なリハビリテーションを受けられるようにします。
4. 一般市民と医療従事者の敗血症に対する理解と認知度を高めます。
5. 敗血症を予防・治療することによる社会的な効果を評価します。

皆さんも敗血症のこと色々と勉強してくださいね







by kaigaiwataihenda | 2015-09-13 14:58 | 敗血症 | Comments(3)