カテゴリ:Acute Care Surgery( 2 )

ECLS(PCPS,ECMO)中の鎮痛、鎮静、神経筋遮断薬、体温調整 後編

ECLS(PCPS,ECMO)中の鎮痛、鎮静、神経筋遮断薬、体温調整 後編


つづきです。


神経筋遮断薬

 ICUにおいて神経筋遮断薬を使用する大きな理由は、呼吸不全のために人工呼吸器が同調しないということである。しかしながら神経筋遮断薬の使用に関連した合併症のため、最近20年間でその使用は減少している。神経筋遮断薬を使用する場合には、必然的に適切な鎮静も必要となる。ECLSの状況ではカニューレ挿入時に神経筋遮断薬がよく使用されるが、一旦ECLSが開始されれば通常はその後不要である。

 ICUで必要な場合には、非脱分極性の筋遮断薬が使用される。これらの薬は作用を活性化するのではなく、競合してアセチルコリン受容体を阻害する。サクシニルコリンが唯一の脱分極性の筋遮断薬である。気管挿管を容易にするために使用されるが、ICUにおいて持続点滴として使用されることはない。

1. 薬剤

a. パンクロニウム

パンクロニウムは一回量で60-90分程度作用が持続し、半減期も長い。脈拍

を増やして、代謝を活性化させ、腎排泄される。これらの特徴からICUでの使用は限られている。

b. ベクロニウム

ベクロニウムはパンクロニウムよりも半減期が短く、一回量で約30分間作

用が持続する。ベクロニウムの半分は肝臓、1/3が腎臓で代謝排泄される。またその代謝産物は活性を有しているため、作用が遷延することがある。

c. ロクロニウム

 ロクロニウムは効果開始が早い。サクシニルコリンが禁忌(熱傷、腎不全、上位運動ニューロン障害)である場合の気管挿管時に有用である。その代謝産物はわずかに神経筋遮断作用を持つ。

d. シサトラクリウム

 シサトラクリウムはアトラクリウムの異性体である。作用開始が早く、持続時間は25-30分程である。この薬剤はエステル加水分解とホフマン脱離により血漿中で不活化される。半減期が短いため、持続点滴で管理されなければならない。この薬剤はICUでの神経筋遮断薬として最もよく使用される。

2. 神経筋遮断薬のモニター

 神経筋遮断薬の深さは、末梢神経刺激によりモニターする。刺激装置は4回の連続した刺激を加え、2-3回筋肉がピクピクと動けば、適切な深さで神経筋遮断薬が使用されていると言える25

3. 神経筋遮断薬による合併症

神経筋遮断薬使用後の筋力低下の遷延は最も考えるべき合併症である。回復の遷延とは、神経筋遮断薬を使用していた時間より50-100%延長するものと定義されている。稀ではあるが急性不全麻痺や筋壊死などの症候も引き起こす可能性もある。神経筋遮断薬による合併症が増えると、ICUでのその使用が極端に減ることが憂慮される。これらの合併症は副腎皮質ステロイドの使用に伴う場面でより頻繁に認められる28

せん妄

 せん妄はICU患者の死亡率の独立した危険因子である29。過活動で不穏なタイプのせん妄は容易に気が付きやすいが、しかしながらより多いのは低活動で静かなタイプのせん妄である。せん妄の特徴は、認知症のような慢性疾患とは異なって発症が急性で、数日から数週の経過で起こる25。せん妄は4つの臨床像を持ち、急性発症、変動のある経過、注意力の欠如、無秩序な思考で定義される31,32

 せん妄は神経伝達の不安定さから、認知機能、行動や気分が変化するものと考えられている22。要因として、脳代謝の抑制、感染、低酸素、離脱、ベンゾジアゼピンや麻薬などの可能性がある。

 ICU患者の全てがせん妄のリスクであるように、ECLS患者も同様のリスクとなる。ICU のためのせん妄評価法(CAM-ICU)のような、せん妄を評価するツールは使用するべきである。また日々ECLS患者は、鎮静をフリーにしたり自発呼吸トライアルなども行われるべきである。ECLS回路と技術は、鎮静を無しにして患者を動かすことが当然であるICUケアにおいて、気になってしまうものである。

体温管理

低体温療法の臨床基準と導入

 低体温療法は1950年代に心臓外科手術の際に、虚血性脳損傷を防ぐために初めて導入された33,34。そのときから軽度低体温療法は、外傷性脳損傷、脳卒中、心臓外科手術後の無酸素性脳損傷など、多くの神経学的異常の場合に使用されてきた35,362つの大きなRCT(ヨーロッパとオーストラリアで行われた)が致死的不整脈による意識のない院外心停止患者への低体温療法の有効性を示し、これをうけて2003年の国際蘇生連絡協議会(ILCOR)は低体温療法に関する勧告を発表した。勧告は他の患者への適応拡大が考慮される37,38とともに、2005年にはアメリカ心臓協会(AHA)やヨーロッパ心臓協会(ERC)のACLSガイドラインにも低体温療法は取り入れられた。新生児の臨床試験でも、周産期の低酸素性虚血性神経障害に対して低体温療法が予後を改善させることもまた示された。低体温は全身を冷却するか、頭部冷却法のどちらかで行い、今や新生児の日常診療でも推奨された治療である39,40。これらの結果に対応して小児のコミュニティーは現在、北アメリカでアメリカ国立衛生研究所(NIH)基金での多施設共同研究 (Therapeutic Hypothermia After Pediatric Cardiac Arrest: THAPCA) を実施中である41。その結果は新生児や成人と同様の結果になるのではないかと期待されている。

 低体温がどのように神経保護につながるのか、正確な機序はまだ完全にわかっていないが低体温そのものと、関連した他の神経保護に影響する生理学的メカニズムの両方が低体温の様々な特性として作用しているようである。わかっていることは、数分から数時間で起こる破壊的な過程のカスケードが、再還流障害と同様に蘇生後脳症という脳の二次損傷につながることである33。また発熱が神経損傷のある患者の予後を悪化させる独立した因子であることも広く知られている。それ故にこの事実は、体温調節や操作が神経集中治療において重要な側面を持つという理解につながり、低体温の利用が代謝率や脳の酸素需要の軽減につながって脳圧や脳浮腫を減らすことが出来るのである42,43ECLS患者の多くはECLS開始前に神経損傷の可能性がある、もしくは神経損傷をすでに経験しているため、ECLS患者に対するこの治療法の妥当性はかなり高い。それ故にこの治療様式は理解しておかなければならないし、利益があると思われる患者にはこの治療法を実行する可能性がある。

定義

 治療的な体温調節の手技に関して色々な定義や用語を理解しておくのは重要である33。表12-1にはこの章の目的の一つで知っておくべき重要な、正常体温へコントロール(Controlled Normothermia)、低体温の導入(Induced Hypothermia)、治療的低体温(Therapeutic Hypothermia)、の全ての定義を記している。

 1. 正常体温へコントロール(Controlled Normothermia)することは神経集中治療において実際よくあることで、ECLS患者の標準的なケアや管理の一部である。シバリングのような体温調節の副作用をコントロールしながら、体温を正常範囲(36.0-37.5)内で上げたり下げたりする。

 2. 低体温の導入(Induced Hypothermia)は意図的に深部体温を36.0以下にすることである。

3. 治療的低体温(Therapeutic Hypothermia)は、シバリング、電解質異常、循環不安定のなどの有害な作用を調整しながら、導入された低体温の維持を目的としている。

 さらに上述の定義をより理解するために、偶発性低体温についても知っておかなければならず、その管理法のように両者の生理学的反応も全く異なることから、治療的低体温と同じ管理やケアではないことを理解しておかなければならない。

低体温の導入

 低体温の導入は、熱喪失を減らし低体温を防止するという体の逆調節反応を生じうる。深部温が36.5以下に下がるにつれて、皮膚の脈管構造の血管収縮が生じる。さらに一旦体温が1低下すると、35.5付近で血管収縮が起きてシバリングが始まる。シバリングは呼吸仕事量、脈拍、ストレス様反応を増加させるに伴い、結果として代謝率や酸素消費量を増やす44-47。覚醒している患者はこれらの反応により酸素消費量を40-100%増やすため、当然神経学的障害のある患者では望ましくない。意図的に低体温を導入した患者では、これらの逆調節性の生理学的反応はコントロールされなければならない。効果的な管理はこれらの患者に対して、シバリングや関連した血行動態反応(表12-2のシバリングの管理でよく使用する薬剤リストを参照)と拮抗する積極的な鎮静をおこなうことである33,34。逆調節性の反応がコントロールされれば、実際の低体温の導入時にゆっくりした脈拍となる。低体温の導入には色々な装置や方法があり、この章の目的ではないが、熱交換機や整備士、その他細かいことに関しては第8章で詳しく述べられているが、それらの調整によってECLS中の体温は決定される。体温の操作はECLS中の重要なバイタルサインの一つであり、時間単位の記録や時折頻回の操作が必要になると注意しておくことが重要である。

ECLS回路の表面面積は患者からの大きな熱喪失となるため、全てのECLS患者は正常体温を維持するために回路の持続加温が必要となる。

低体温に対する生理学的反応とその管理

1. 血行動態への影響

 心血管系の影響でよく起こるものは、末梢の血管収縮による軽度の血圧とCVPの上昇、代謝率の低下による混合静脈血酸素飽和度のわずかな増加、それに関連して代謝率の低下による心拍出量の低下〜不変による脈拍の減少(徐脈)、などがある。低血圧もまた頻度は少ないが起こりうる。しかしながら低体温の導入時の寒冷利尿と血圧低下が関係していることは知っておかなければならないし、ICP管理している外傷性脳損傷の患者はさらに浸透圧利尿も加わるためより顕著なものとなる。徐脈はすでに先述したが、さらに低体温中にはPR間隔やQT間隔の両方とも延長することがよく起こり、一旦30を切って28-30になると、Vfに移行しやすいだけでなく心房性の不整脈など、他の不整脈も起こり得る48-50

2. 電解質異常

 電解質異常は治療的低体温の導入の時によく起こる。重要なことは、電解質の喪失が著しいことがあるので、K, Mg, P, Caを正常上限レベルで保っておくことである。そしてまた復温するときに、電解質は正常レベルを超えやすいので、それらの値を密に計測することが大事であるが、とくにKでよく見られる50-51

3. 凝固異常

 低体温中は血小板数の減少に合わせて、血小板の機能が低下することがよく知られている。このことは低体温療法を受けている患者の出血のリスクとなり得る。くわえて凝固カスケードの前駆体の活性化因子への変換が遅くなり、さらには通常の止血にも影響を及ぼす可能性がある。低体温療法中の出血はそれほど多くはないが、リスクとなり得ることは知っておかなければならない。低体温療法を受けているECLS患者は、そのリスクはさらに高くなり、より配慮すべきであり、有害事象を防ぐための綿密なモニタリングが必要である。通常の止血機能の異常により、静脈と動脈系の両方ともカテーテル関連の血栓形成が増える可能性がある52-53。日頃からライン刺入部やその周囲の組織の監視は早期の血栓形成を発見するためにおこなわれるべきである。そのほとんどがラインを抜去することで血栓が自然溶解する。低体温療法を受けているECLS患者は、血栓が出来ないよう抗凝固薬を全身性に使用されているためそのリスクは低く、ライン抜去はECLSから離脱するまで行わない。

4. 炎症反応の抑制

 低体温療法中はカテーテル関連血流感染(CRBSI)など、感染が中等度の頻度で起こる。特に気道や創部など、正常な炎症反応が冷却することで抑制される。ECLSはそれ自体が感染のリスクとなる上に、さらに低体温療法の2つの治療がなされて感染のリスクが増加するため、感染を早期に発見して賢明な抗生物質の使用が推奨される33

5. インスリン抵抗性

 高血糖はよく低体温療法の導入や維持のときに認められる。インスリン抵抗性が増大するのは3歳以上の患者で認められるため、輸液に糖を含む必要はないかもしれない。高血糖を是正するため高用量のインスリンが必要になるが、再度復温するときには低血糖を防ぐため、とても慎重に観察しなければならない56-61

6. 検査値異常

 低体温中に検査値異常はよく認められるが、そのほとんどが介入する必要はない。さらにいくつかの検査値は体温そのものに影響される(例えばpH、血液ガス値、凝固のパラメーターなど)ため、体温で補正した正確な値を得る必要がある。検査値でよく異常値となるものとして、乳酸アミラーゼ肝酵素は全て上昇、白血球数や血小板数はやや低下、ヘマトクリット値はやや上昇、pHは通常やや低下となる33,62-64ECLS患者ではこれらの異常はよく認められ、密にモニターすることが通常求められる。

7. 薬物クリアランスの低下

 低体温療法中の薬物クリアランスと代謝は通常低下し、このことは頻繁に起こる。これは肝酵素の働きが緩徐になるためだと最も考えられている。しばしば同じ効果を得るためには点滴速度やボーラス投与量の増量が必要となる。ECLSと組み合わせると、ECLS自体が分布容量の増加により薬の作用が減弱することがよく知られているため、結果として鎮静/鎮痛の管理と合わせて大きな挑戦となる。

8. 皮膚障害

 低体温療法の副作用で最も障害されやすい臓器は皮膚である。冷却する過程で末梢の血管収縮を起こし、それ故に動かない患者の皮膚を傷つけやすい。これらの患者は圧がかかる部位を持続的に変更できる特別なベッドを設置したり、さらには褥瘡や皮膚の障害を防ぐための頻回の体位変換が必要になる。もしもシバリングが重大で鎮静管理で効果的にコントロールすることができないときはその患者は神経筋遮断薬を使用したり、自動的に長期間のEEGモニターの装着が必要となるだろう33,34。モニターの電極それ自体が持続的に一ヶ所へ圧をかける原因となり、このこともまた同じく皮膚障害を引き起こす可能性がある。ECLS中の患者では、体位を変換することは挑戦的でリスクがあり困難なように思われ、そして特別なベッドを使用するのは普通にあることではないが、大きな体型の一定の患者では考慮すべきかもしれない。

9. シバリング

 シバリングは低体温療法で最も頻度が高く、普通に起こりうる副次的現象である。前述したように、血管収縮後の体の生理学的変化や体温を上げようとする試みは意味がなく、深部体温は35.5以下まで低下する44-47。色々な試みは試すべきであり、鎮静薬や筋弛緩薬を使用し、もし可能なら神経筋遮断薬の長期使用はさけることを目標にしてシバリングをコントロールする必要がある。次に挙げる薬がよく使用されるが、筋を弛緩させるマグネシウム硫酸塩の注射、短時間作用型のオピオイド、鎮痛のためのメペリジン、抗不安作用のベンゾジアゼピン、成人の鎮静としてのプロポフォール、シバリングをコントロールするための短時間作用型の神経筋遮断薬、などである33,34。動物実験で低体温療法中に、神経筋遮断薬を使用中きちんと鎮静をしなかった実験では低体温療法の有益性はなかったとしているが、一方で神経筋遮断薬を使用中きちんと鎮静した実験では、低体温療法の有益性の可能性があったことを覚えておかなければならない65,66。他の薬剤でシバリングを減らすために使用されているのは、クロニジンやデクスメデトミジンなどである。シバリングは代謝率を増やしICPを上昇させるため、この治療法を成功させるためにどのようにシバリングをコントロールするのかについての、明確な治療戦略が必要不可欠である。

 神経学的予後の改善については、外傷性脳損傷、目撃のある心肺停止、周産期の低酸素血症などの一定の集団においては、導入もしくは治療的低体温の使用は正当な理由となる。さらに小児の研究の結果でも、低体温療法の有益性がある患者群への追加となりそうである。ECLS患者、集中治療、その管理の全ての側面がケアに組み込まれる必要があり、そのためにも導入や治療的低体温に対して明確な理解が広く知られて、適応のある患者集団に利用されなければならない。

偶発性低体温とECLS

 偶発性低体温とECLS患者の復温に関しても、簡潔に話をしておく必要がある。早い時期から重度低体温や心停止に対して心肺補助バイパスを使用し成功したいくつかの症例報告があり、ECLSの使用が広く普及しECLSは蘇生の際に管理しやすく望まれる方法になっていた。ECLSの使用はジオグラフィック分野では、高い確率で偶発性低体温症が起こることから、ずっと探求され研究されてきた67-69。この場合の蘇生はECLSを用いての急速復温を迅速に実行することが原則である。患者の発見から最短で復温するには大腿動脈と大腿静脈からのカニュレーションが、最も後遺症を少なくし予後を改善させる。段階的、迅速に回路で熱交換器を用いて患者の体温を上げるよう調整しながら、心血管補助のためのVA-ECLSの開始が必要である。なぜならVA-ECLSを装着している患者は心機能や、ECLSを装着していなければ適切な循環を保てなくなるような心室性の不整脈(除細動 +/- 薬物治療 を要する)を完全にサポート出来るためである67-69

 偶発性低体温において良好な予後や生存率は、復温のために迅速に患者を救助し搬送してECLSを実施するということと関連している。さらに良い結果の得られた研究は、組織された救助チームを持ち、基礎疾患少ない若い患者で、先行した窒息がなく、28未満の重度低体温などが最小限であるセンターの結果であった68。症例報告からの重度低体温や長い心停止での生存例は、ECLS装着のないものはほとんどない70-72。早期のECLSの遂行と選ばれた集団で復温をすることは予後を改善させ、価値のある治療介入である。それ故にECLSを遂行するセンター、プロトコールの理解、いつ遂行すべきか、は重要である。



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by kaigaiwataihenda | 2015-10-31 10:03 | Acute Care Surgery | Comments(0)

ECLS中の鎮痛、鎮静、神経筋遮断薬、体温調整 前編

ECLS(PCPS,ECMO)中の鎮痛、鎮静、神経筋遮断薬、体温調整 前編


医療者向けの記事が少ないのでECMO中の鎮痛と鎮静等について暇だったので洋書を訳してみました。

訳が間違ったり内容に関して異論があるかもしれません。あくまでも興味があれば参考までにどうぞ。


鎮痛と鎮静

 鎮痛薬と鎮静薬は現在、ICUで広く見受けられている。これらの薬理学的アプローチの意図するところは、痛みを取り、不安感を最小限にし、眠らせることで酸素消費量と二酸化炭素産生量を最小限に抑えることを目的としている。鎮静された患者は点滴ライン、挿管チューブ、血管カニューレ等を抜去する可能性は低くなる。また鎮静された患者は人工呼吸器と同調して呼吸できる可能性も高くなる。薬を使用して落ち着いた患者は容易にコントロールされた患者である。20年前は落ち着いたコントロールされたの2つの基準を満たすICUの患者は慈悲深さの基準とされたが、現在ではこのパラダイムは劇的に変化し、活気解放が促されて来ている。我々は現在、挿管チューブは気道を守るというよりもむしろ、気道を妨害するものと認識している。臨床試験では非侵襲的換気療法(NIV)が予後を改善しつつ、気管挿管時に見られる感染や合併症を減らしていることを証明している1,2。我々は機械的換気法が肺を損傷し、全身の炎症のトリガーとなり、そして死を招くことをはっきりと理解する3,4。鎮静薬の投与は一見すると患者のケアに必要なものと思われがちだが、最重症であるICU患者が連日投与されることは止めるべきであろう。その結果ICUに関連した心的外傷後ストレス障害 (PTSD) を減らすと同時に、人工呼吸器装着時間を減らし、ICU滞在日数を少なくし、患者の予後を改善させている5,6,7。最終的に、我々は実践的、有益性の両方の点で重症患者を動かすことを学んだ。つまり重症患者の生命予後と機能的予後が改善することを再び達成させたのである8

 ECLSテクノロジーは、新しい安全なプロファイルと言われるように十分に成熟しつつある。ECLSという用語は重症患者の病気の経過中の、救出救助戦略の奥の手の代名詞として早くから使われてきた。そしてまたECLSは覚醒していて活動性のある患者においても使われるようになってきた。活気解放の全てのメリットが、ECLSを施行されている患者でさえも達成されうるものとなっている9

 この章ではECLS施行中の患者での鎮痛、鎮静、神経筋遮断薬等をレビューする。またICUでのせん妄についても述べる。そして末尾に、ECLS中の低体温についても議論しておきたいところである。

薬理学とECLS

 鎮静や鎮痛のようなICUの薬を適量に投与することは、副作用を減らし、使用期間を短縮でき、有害反応を減らすことにより死亡率や罹患率を減らすことに寄与する10。重症である状態は多くの薬の薬力学(PD)や薬物動態(PK)を変化させる。ECLSを行われている患者の、その薬理学的変化はあまりよくわかっていない。ECLS患者は血流量が増加し、ECMO回路への血液の分布が多くなっている。これらの患者はしばしば肝機能、腎機能が障害される。またECLS患者は、ポリビニールクロライド(PVC)チューブや膜型人工肺の影響を受けるというところが典型的なICU患者と比べると特徴的である。

 ECLS回路のPVCチューブ、コネクター、ポンプ、膜型人工肺(MO)に関する詳細については、第8章、第10章で詳細に述べられている。膜の素材はそれぞれ異なるポリマーから作られる。ECLSで最もよく使用される膜には、ポリプロピレン、シリコーン、ポリメチルペンテン(PMP)などがある。ECLS回路に対する、鎮静薬、鎮痛薬、抗生物質等の薬物動態の関連は現在も研究中である。臨床的に観察すると一般にECLS患者は、通常の患者に比べてこれらの薬の量ははるかに多くなる11,12,13。これはそのPVCチューブとMOが血流の分布を大きくし、また血流を増加させ、回路の表面面積が増えることでポリマー表面への薬剤の吸収が増えるためである11,14,15。この薬剤の吸収は、全体の薬物クリアランスに影響すると同時に、初回薬物投与量の生体内利用率を低下させる。Mullaらはあるvitro実験モデルで鎮静薬の喪失する量を評価した。2相モデルでECLS中のロラゼパム、ミダゾラム、ジアゼパム、プロポフォールの喪失量を検討した。40-98%の薬物喪失率がみられ、プロポフォール>ジアゼパム>ミダゾラム>ロラゼパムの順番であった。さらに回路素材に対して、回路のプライミングに用いるアルブミン、血液、電解質輸液、緩衝液、温度操作などの全てのものが、ECLS中の薬物の生体内利用率に影響した。さらにこの研究は、ECLS回路が多くの量の鎮静薬の効果を抜き取るため、回路を使用が増えるに連れてどれくらい薬物の効果が減るということに関しては、さらなる研究が必要であることを示した。薬物の吸収量はシリコーン膜に対するものよりもPVCチューブに対するものが多かった。

 Tibboelらは、シリコーンやポリプロピレン中空糸膜によるECMO回路で、よく使用される薬剤(ミダゾラム、モルヒネ、セファゾリン、メロペネム、バンコマイシン)の吸収率を調べた。有意な薬剤の吸収が起こるかは両方の膜の薬剤の脂溶性の増加と一致していた。またポリプロピレン膜はシリコーン膜と比較すると有意に薬剤の吸収が少なかった16

 それ故に、薬剤の分布と効果に留意しながら、ECLS回路網とプライミング用液の潜在的な影響を認識することが必要である。薬剤の排出とクリアランスは低下し、容量の分布は増え、ECLS回路網のポリマーの成分により薬剤が取られてしまうのである。このイベントの群が多く一般に使用されているICU薬の生体内利用率の低下に繋がっている。

鎮静と鎮痛の適応

 ECLS患者はICUにおいて、他にはいない特別な患者と見なされる。ICU患者は典型的には鎮静と鎮痛が必要である。これはECLS患者にも当てはまる。これらの患者は鎮静薬、鎮痛薬の必要性は大きく変化し、そのために患者のマネージメントも個々のケースの背景により個別化されなければならない。ICUでよく見かける鎮痛薬、鎮静薬、抗精神病薬を使用する一方で、その適切な効果がある量を探りながら達成していく。予想できない薬物動態は不適切な量や効果を招く可能性がある。治療の効果が低ければ、痛みや不穏、人工呼吸器との非同調性、自己抜管、中心ライン抜去、ICU関連のPTSDなどが起こりうる。逆に治療が過剰に成りすぎると、人工呼吸器装着時間が延長し、院内感染、せん妄、入院日数の増加、またPTSDの発症とも関連する5,17,18

 ECLSは従来の呼吸補助で失敗した場合の呼吸不全に適応となる。たとえ生理学的に酸素と二酸化炭素が効率的に管理されていたとしても、これらの患者はよく呼吸苦を訴えるが、それは不快なストレスの原因が残っているためである。過剰な咳嗽もまた不快なストレスの原因となり、麻薬は呼吸不全のこれらの両方の結果を軽減させる可能性がある。鎮静することは人工呼吸管理下にある患者の酸素消費量を15%減らすことが出来る。また鎮静は健忘作用もあるが、しかしながら生存率や入院日数を指標とした場合に、その予後を改善させるということを支持するエビデンスはない。だが痛みや手技の不快なストレスの期間を短くするために鎮痛や鎮静を行うことは適切であると言えよう。

 ICUでせん妄になり、入院日数の延長や医療費用の増大などにつながることは、かなりありふれて普通のことである。せん妄は患者が乱暴であったり攻撃的である場合に気がつかれることが多いが、しかしながらもっと多いのは低活動型のせん妄である。ハロペリドールなどの抗精神病薬は攻撃性のあるせん妄には有効であるが、非活動型のせん妄は増悪させる可能性がある。せん妄はまた、睡眠-覚醒リズムの障害や薬、感染、離脱症状、脳症などの結果である可能性もある。

鎮痛薬

 痛みはほとんどのICU患者にとって一般に認められる症状である。鎮痛薬の必要性は、手術、外傷、慢性疼痛、挿管チューブの刺激、手技、ICUならではの固定された状態、など多岐にわたる。痛みを認識できない場合、不穏や不適切な鎮静薬の使用などにつながる可能性がある。コンセンサスのある意見としては、痛みの管理に関して積極的に治療する戦略が推奨されているが、しかしながら、重症患者の集団の中で痛みの有無をはっきりと識別することは難しい。

 痛みによる生理学的反応は、内因性カテコラミンを増加させ、代謝量を増やし、心筋虚血、不安感、睡眠障害やせん妄などを助長する。適切な鎮痛はこれらの症状を改善させ得る。ECLS患者の痛みを評価することは、挑戦的かもしれない。何故なら典型的なECLS患者は、ECLS装着初期から深く鎮静されているためである。さらにこれらの患者は一般にECLS装着となる前に、数日から数週間前から、ICUで人工呼吸器装着や鎮静をされていることが多い。神経学的な評価もコミュニケーションが障害されているために困難となる。鎮静の方針を途中で修正することは、離脱症状等により複雑なものとなり得る。痛みのスケールと点数化システムは、鎮痛、鎮静を実施するにあたって、痛みを定量化する客観的な方法として有用なツールと成り得る。しかしながらこれらの評価方法は、患者の意識があって意志疎通を取ることができるときに、なお実践的で信頼性のあるものとなる。またこのことはECLS患者に限ったことではない。

 ECLS患者は抗凝固療法をなされているが、ほとんどはヘパリンによって行われている。抗凝固療法は、経腸、経静脈、経皮膚の鎮痛薬の投与経路を制限させる。局所の鎮痛の手法は、抗凝固療法を行われた患者では許容できないリスクを生じる可能性があるため、あまり行われない。これはまた鎮痛や鎮静のための皮下注射、筋肉内注射でも同様である。

 持続点滴が一番典型的であるが、しかしながら近年この投与方法の妥当性に関して、集中治療領域の文献から疑問が投げかけられている。オピオイドの持続点滴は多くが生体内に蓄積され、覚醒遅延やICU滞在日数を延長させてしまうことと関連している。持続静脈注射の理論的に優れた点は、血清薬物濃度の変動がより少ないため、薬の過量投与や量不足を減らすことができる22。薬物動態や薬力学の変化は、ECLS患者の鎮痛薬の量や管理にも関係していることを覚えておく必要がある。

 オピオイドの離脱症状は鑑別を必要とする。その徴候や症状は漠然としていて非特異的であり、また瞳孔散大、発汗、頻脈、高血圧、発熱、頻呼吸、嘔気、嘔吐、筋肉痛、健忘、不穏状態などの生理学的ストレスのため、しばしば他の原因を探すことも必要となる20

鎮静

ECLS中の鎮静戦略

 ECLS中の鎮静戦略は地域性とプログラムによって特異性がある。プログラムは理解しやすい実践的な様式で調べられてきた23,24。ある調査では、鎮静する理由を回答者に聞いていた。最も多い回答は、不安を軽減する、痛みを減らす、健忘作用、人工呼吸器と自発呼吸の同調性を容易にする、ライン自己抜去を防ぐ、酸素消費量とCO2産生量を減らす、離脱症状を管理する、医療スタッフが望んでいる、両親が望んでいる、他の理由などであった。最も多く使用されていた薬は、モルヒネ、ミダゾラム、プロポフォール、フェンタニルなどであった。

 これらの調査は、重症のECLS患者に施行されている鎮痛鎮静は、他の重症患者で行われている鎮痛鎮静と同じような傾向や割合であったことを示している20,22

鎮静レベルの評価

 重症患者の鎮静の妥当性を評価することは、ECLS中であってもそうでなくても難しいものである。いくつかのアセスメントスケールが使用されていて、ECLS患者も含めた全てのICU患者の適切な鎮静度を評価している。スケールは有用なガイドであるものの、適切な鎮静度の評価は主観的なベッドサイドスキルに依存している。ECLS患者が一般のICU患者と同じ方向性で治療されるべきということを認識しておくのは重要なことだ。適切な鎮静度の評価は、日々の評価の一部分となるべきである。日々の鎮静の休みと自発呼吸させる試みは、ECLS患者の重症治療戦略の一部となる必要がある20,22

鎮静に使用される薬剤

1. オピオイド

 オピオイド作動薬は中枢と末梢の受容体に対して活動性を持つ。臨床的に重要な受容体は、ミュー(μ)とカッパ(κ)受容体である。ミュー受容体は2つのサブタイプがある。ミュー1受容体は鎮痛に寄与する。ミュー2受容体は嘔気、嘔吐、便秘、多幸感、呼吸抑制を伝達する。カッパ受容体は鎮静や縮瞳に影響している20,22

a. 薬力学:

中枢神経系

 鎮痛の最初の効果はミューとカッパ受容体を介して伝達される。また中等度の抗不安作用がある20,22

心血管系

 オピオイドは正常循環血液量の患者においてほとんど影響はない。しかしながら交感神経活動亢進により血圧を保っている患者では、モルヒネを使用することで低血圧と成り得る。この血圧低下はベンゾジアゼピンもまた使用されている場合にはさらに顕著になる。この相乗作用の理由はわかっていない。メペリジンは構造がアトロピンと類似しているため頻脈を起こすことがある。他のオピオイドは典型的には、交感神経の活動を抑制することで心拍数を減らす。またモルヒネとメペリジンはヒスタミン放出を引き起こすかもしれない。レミフェンタニルは徐脈と血圧低下を起こす可能性がある20,22

呼吸器系

 オピオイドは用量依存性の中枢性の呼吸抑制を引き起こす。また呼吸抑制には脊髄のミュー2受容体を介するものもある。典型的には一回換気量は保たれるが、呼吸数が抑制される。CO2貯留に対する反応が寛容になり、低酸素に対しての換気応答が妨げられる20

その他

メペリジンは術後の震えを軽減することができる。嘔気、嘔吐、胃腸管運動の低下はオピオイドの副作用である。他の作用としては痒みや尿閉を生じ得る20,22

b. 薬剤

. フェンタニル

 フェンタニルは高い親油性のある合成オピオイドである。効果開始時間が早く(1-3分)、作用時間は短い。フェンタニルはボーラスもしくは持続注射で用いられる。フェンタニルは末梢組織に再分布され、もし使用期間が長ければ蓄積される。フェンタニルは心血管系へはほとんど作用はない。フェンタニルはシリコーン製の膜型人工肺に吸収される16,20,22

モルヒネ

 モルヒネは天然のオピオイドである。静脈注射でのモルヒネは脂質との親和性が低いため、効果開始時間が遅い(5-10分)。またモルヒネは作用時間が長く(7時間以上)、ボーラス使用で効果的である。モルヒネの大部分は肝臓で代謝され、モルヒネ-6-グルクロニド(M6G)やモルヒネ-3-グルクロニド(M3G)へ変換される。モルヒネ-6-グルクロニドは鎮痛作用を持ち、腎機能障害のある場合には蓄積されうる。モルヒネは明らかなヒスタミン放出を引き起こし、血管拡張や血圧低下を生じ得る20,22

メペリジン

 メペリジンは弱いミュー受容体作動薬である。メペリジンは肝臓で代謝され、腎排泄される。その代謝産物であるノルメペリジンは中枢神経系を刺激するため、腎機能障害や長期間使用する場合には痙攣を突然引き起こすことがある。モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を併用している場合には投与禁忌となる。他のオピオイドに比べて利点はほとんどないため、ICUではあまり使用されない20,22

ヒドロモルフォン

 ヒドロモルフォンはモルヒネと同じ薬物動態を示す、半合成ミュー受容体作動薬であるが、約10倍以上の効果を持っている。ヒドロモルフォンは循環動態が不安定な患者でも使用できる。またヒスタミン遊離は引き起こさない。ヒドロモルフォンはグルクロン酸抱合によって不活化代謝物となり、腎機能障害のある場合には使用を考慮される22

2. ベンゾジアゼピン

a. 薬力学

 ベンゾジアゼピンはICUECLS患者でも最も多く使用される鎮静薬である。γ-アミノ酪酸(GABA)受容体と結合することで複合体を形成し、その効果を及ぼす。ベンゾジアゼピンは健忘、呼吸抑制を引き起こしたり、オピオイドの使用量を減らしたりすることができる20,22。この種類の薬では、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパムの3つはICUで最もよく使われている。ミダゾラムがECLS患者では最も一般に使用される16,22。ベンゾジアゼピンはECLS患者ではECLS回路に使用されているPVCチューブや膜に吸収される。

. 中枢神経系

 ベンゾジアゼピンは用量依存性に覚醒抑制を引き起こす。健忘作用もある。薬の作用と矛盾しているようだが、よく高齢者では不穏を起こし得る。ベンゾジアゼピンは抗痙攣作用を有する。

. 心血管系

 ベンゾジアゼピンは正常循環血液量の患者において循環動態にほとんど影響はない。

. 呼吸器系

 ベンゾジアゼピンは用量依存性の中枢性の呼吸抑制を引き起こすが、オピオイドに比べると明らかではない。ベンゾジアゼピンは換気応答を障害して低酸素を引き起こし得る。ベンゾジアゼピンは呼吸回数を増やしながら、一回換気量を減らし得る20

b. 薬剤

ミダゾラム

 ミダゾラムは作用時間が短いが、効果開始は早い(0.5-5分)。除去は肝代謝によりヒドロキシル化代謝物になり、抱合されて尿中に排出される。活性を持つ代謝物であるα-ヒドロキシミダゾラムが腎不全の場合には蓄積される。ミダゾラムは持続静脈注射の場合にも末梢組織に蓄積される。肝機能障害、腎機能障害を伴う肥満や高齢の患者は、その効果が延長する傾向にある20,22。ミダゾラムはECLS患者で使用されるベンゾジアゼピンで最も頻用される薬剤である16

. ロラゼパム

 ロラゼパムはミダゾラムよりも効果開始時間が遅いくすりである(-5分)。親油性が低く、血液脳関門を通過するのに時間がかかる。作用持続時間は長い。あまり末梢に蓄積されない20

. ジアゼパム

 ジアゼパムは効果開始、作用時間ともにミダゾラムとロラゼパムの中間にある。ジアゼパムはほとんど持続点滴が行われない。除去は肝代謝で、肝疾患や高齢者の場合にはその作用が遷延する。

3. プロポフォール

 プロポフォールは早い効果開始(1-5分)と短い作用持続時間の急速作動型の麻酔薬である。高い親油性を持ち、血液脳関門を素早く通過する。プロポフォールはICUでは持続点滴で使用されることが多い。主に肝臓で代謝され、不活性型の代謝物に変換されて腎臓から排出される。副作用は限定的である。

 プロポフォール注入症候群(Propofol infusion syndrome: PRIS)は稀ではあるが、脂肪分の多い血漿のために、発熱、心不全、アシドーシス、横紋筋融解等を呈する25。これらの症状のほとんどがECLS中マスクされるため、これらの複雑な病態に注意しながら経過を見ていく必要がある。トリグリセリド値や横紋筋融解の徴候を探すのが賢明である。またプロポフォールを長期高用量使用した結果、膵炎を引き起こすことがある。

a. 薬力学

. 中枢神経系

 プロポフォールは用量依存性に催眠性がある。また健忘作用や抗不安作用の効果もある。プロポフォールには鎮痛作用はない。

. 心血管系

 プロポフォールは循環血液量が低下している患者では、重大な血圧低下を引き起こす可能性がある。これは主に静脈の容量を保っている血管が拡張した結果、前負荷が減少することによる。プロポフォールは軽度の心筋抑制作用がある。心機能がぎりぎりの患者ではこの薬剤の使用は注意しなければならない。心筋酸素消費量は減少し、心筋酸素需要供給比は保たれる。このことはプロポフォールが、心機能が落ちた虚血性心疾患の患者でも使用できる、ということを認める理由である。

. 呼吸器系

 CO2蓄積に対する反応は鈍くなり、無呼吸発作をしばしば起こすことがある。また典型的には一回換気量が減って呼吸回数は増える。

. その他

 プロポフォールは脂質内輸送体を介して伝搬される。高トリグリセリド血症が生じる可能性があり、また使用中止の基準にもなる。プロポフォール使用に関連した脂質カロリーも考慮に入れて、カロリー摂取量を調整する必要がある。

4. ハロペリドール

 ハロペリドールはブチロフェノン系抗精神病薬でよく鎮静に使用される。ドーパミンに拮抗し、特に基底神経節に作用する。ハロペリドールは静穏な状態をつくる。ハロペリドールは経口、筋肉内注射、経静脈注射もしくはボーラス投与することが出来る。ICUでの場面やECLS患者では、主に静脈注射で使用されることが多い。筋肉内注射は、抗凝固療法を行われているECLS患者ではあまり適切ではない。

a. 薬力学

. 中枢神経系

 ハロペリドールは中枢神経系を抑制して、静穏で超然とした状態を作り出す。ハロペリドールはしばしばICUで不穏で過活動な患者をコントロールするのに使用される。鎮痛作用はないが、オピオイドの作用を増強させると考えられている。ハロペリドールは他の薬剤に抵抗性の不穏に対して、しばしば選択される薬である20,22

. 心血管系

 ハロペリドールはアルファ(α1受容体を阻害することで、軽度の低血圧を引き起こす。ハロペリドールはQT 間隔を延長し、またトルサデポアンを引き起こすことが報告されている。

. 呼吸器系

 ハロペリドールは直接的な呼吸抑制は引き起こさないと考えられている。

. その他

 ハロペリドールの使用の結果、時折錐体外路症状を引き起こすことがある。これはハロペリドールの経静脈投与より経口投与でよく認められる。ジフェンヒドラミンが治療薬である。その他には悪性症候群があり、生命を脅かすものと成り得る。症状は、発熱、筋強剛、精神状態の変化等である。この症候群を上手く治療するために、ブロモクリプチン、ダントロレン、パンクロニウムが使用されている20

5. デクスメデトミジン

 デクスメデトミジンは中枢性のアルファ(α2受容体作動薬である。呼吸抑制を起こさせずに抗不安作用や鎮静を行うことが出来る。患者は邪魔されなければ鎮静されたままであり、また一方で刺激すると容易に覚醒する。これは頻回の神経学的検査をしやすくする。デクスメデトミジンは抜管された患者でも安全に使用することが出来る22,25,26。最近のランダム化比較試験では、成人ICUでのデクスメデトミジンとミダゾラムの検討をおこなっている。人工呼吸管理されているICU患者において、目標鎮静レベルをデクスメデトミジンとミダゾラムで比較したが差は認められなかった。鎮静レベルの比較では、デクスメデトミジンで治療された患者は、人工呼吸器装着時間の短縮、せん妄の減少、頻脈は高血圧の減少などが認められた。デクスメデトミジンで最も認められた副作用は徐脈であった26,27

a. 薬力学

. 中枢神経系

 青斑核と脊髄にあるアルファ(α2受容体を刺激し、中枢性に作用する。その結果、抗不安作用、鎮痛、ストレス反応の減衰が起こる。

. 心血管系

 徐脈と低血圧を来し得る。また完全房室ブロックになるという報告もされている25

. 呼吸器系

 明らかな呼吸抑制はない。



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by kaigaiwataihenda | 2015-10-31 09:38 | Acute Care Surgery | Comments(1)